2015年7月14日火曜日

どうなる!中核市③

 議会が執行部に対してしっかりとした牽制力を持つことは、議会の構成員の一員として、とても大事なことであると思う。ともすれば追認や翼賛の為の機関に堕するような状況が散見されるのが、地方議会の現状とも聞く。事なかれの雰囲気で、つつがなく進行しそうな物事を、二元代表の一翼として、議会の立場から物申すことは、またそのことに腐心しての事であるのなら、自分自身もその戦力として一翼を担いたいとも思う。
ただ面白いもので、地方自治体は首長、議員(議会)ともに住民による直接選挙でえらばれる二元代表で運営されてはいるが、首長:議会の関係以外にも議会内の権力構造とその人間関係がある。本来、議院内閣制ではないので与党:野党の区別は明確ではない。佐世保市議会では緑政・自民・市政の3会派を保守系3派として与党的にとらえてはいるが、市政執行部との関係においては共産党や特定分野における社民党の立場以外は、概して野党的ではない。首長:議会の緊張した関係と言うよりも、議会内の権力構造に、大方流れていく。
中核市移行への申出の議案を継続審議とすることに、保守系3派は賛成するという事になっていたかどうかは、会派の代表者ではないので分からないが、「賛成する」ことが議会内与党的には普通の事ではあったと思う。所属する緑政クラブではこの賛否について「拘束をかけるかどうか」がまず話し合われた。拘束をかけるという事は、造反すれば会派を出る、という事になる。とりあえずは、いろいろと反論はあるが、各会派と歩調を合わせ、賛成で拘束を掛けざるを得ないというものであった。
「こんな姑息なやり方には反対だから自分は信念の元、反対する。拘束をかけるという事は、今日は俺の送別会になるという事、ね。」と百戦錬磨の長老議員が宣言する。議会最終日のその日、委員会で審議された議案をはじめ各議案は本会議で諮られ、定例議会が終了する。その夜は、それぞれの会派で打ち上げが行われる。その打ち上げが打ち上げではなく、送別会になる、俺は会派を出るとの宣言である。
僕は拘束をかけるのに反対し、むしろ長老議員と足並みをそろえると発言した。更にタイミングを計り、
「僕が一人ついて行ってもヘノツッパリニモナランですから、ここは副議長、委員長、この議案所管の総務委員会所属の4人は立場を考えるとして、残り4人は反対したらどうですか」と提案した。
「1年生議員の癖、偉そうなこと言うな」と言われると思いきや、賛成の意見があり、
「自主投票ではなく、会派としての統制を効かせ議会において役職についているものはやむなしとして、それ以外は反対とする」ことが決まった。つまり会派としての立場は、中核市移行の申出は「継続して審議する」のではなく速やかに可決すべし、との立場を鮮明にしたのである。
議長を除いて32名の議員、僕は前列に座っているので、また議事録もまだ仕上がっていないので、正確に何人が反対したのか定かではない。予算を通して、これを継続にするのは、おかしいよね、の意見は他の会派でも聞かれた。議会はそんな不平を持ちながらも大勢に流れる人、またこの場合では、中核市への申出の議案を可決せず、否決せず、継続審議とする事の意味、しかも関連予算は通っている、事の意味、それらを深く考えない人、いろいろな議員によって賛成多数で、何事もなく通っていく。ひょっとしたら、32人のうち反対は緑政クラブの4人だけだったのかもしれない。
その4人の行動によって、見えてくるものもあるのである。

続く

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