2015年10月26日月曜日

公民館等の施設利用料の値上げについて 9月一般質問から⑥


公民館活動と受益者負担の考え方について問う

 公共施設の利用料値上げの多くは公民館や体育施設など、市民の生活に直結した施設である。財政的な要請とは言え、議論の深まりも無く簡単に済まされるのも、議会・議員としてその存在を問われるべき事である。一言(でも二言でも)物申すことが必要である。
 私の論点の第1は次のようになる。

公民館で行われる活動、公民館が担う活動、そして社会教育とそのための施設としての公民館のあり方は、憲法の基本的人権に由来し、教育基本法や社会教育法に規定されている。教育基本法では社会教育が「個人の要望や社会の要請にこたえ、国及び地方自治体において奨励されなければならない」と第12条で規定されている。また同法2項において公民館を設置して教育の振興に努めなければならないともしている。更に社会教育法は、そもそもが社会教育に対する国や地方公共団体の任務の規定である。社会教育法は3条において社会教育の奨励に必要な施設の設置運営に、国及び地方自治体は努めなければならないとしている。そうした事々と受益者負担の考え方で、料金を取ると言う事は深遠なる議論を要するものではないか、と言う事である。
 
 議会にも図られる以前であるので、議論が深められていないのは当然である。他の自治体において「利用料を取る制度」が激論の末に導入されていることも知っている。だから問題ない、で良いのか。やはり佐世保市においても激論をすべきなのである。
 
 公民館活動の、社会教育活動の、その受益者は、その活動に参加した人たちのみならず、広く国民が受益者であるとの考えがある。知る権利、学ぶ権利を保障し、憲法が保障し唱える自由で民主的な国の形を維持する事によって、広く国民に還元されるという考えなのではないか。 

論点の第2は次のようになる。
減免基準の明確化との表が示されている。例えば「懇親・レクレーション」は減免を行わない、との分類になっている。さらに公民館主催事業であるかどうかで、減免を行うかどうかの区分している。

 社会教育法で社会教育の定義がなされているが、そこには教育活動としてレクレーションの活動を含むと記されている。また「住民の自主的な社会教育活動を尊重し、行政の役割は主としてそれを奨励、援助する事にある」と言うのが行政の役割の認識であり、公民館主催であることを減免にの対象におくことは、この趣旨に反し、自主活動を抑え、何事も公民会主催ですべしとの、反対方向への誘導にならないか懸念される。
 
 公民館の使用に対して、社会教育法の趣旨を超えて職員の判断基準が用いられているのではないかと懸念されるのである。
 
 明確な回答は得られない。ただし、主戦場は文教厚生委員会である。しっかり議論しなければと思うのである。
 議会中継、ぜひご視聴ください。

2015年10月23日金曜日

公民館等の施設利用料の値上げについて 9月一般質問から⑤


 執行部は、本来自治体会計にはない減価償却費を持ち出して、公共施設の利用料値上げを主張するのではあるが、議論がもまれていない分、腰が定まらない。減価償却費として投資額を回収するといってみたり、世代間の負担を公平にするといってみたり、また受益者負担と言ったりもする。それぞれに意味は違う。減価償却費を持ち出して公共施設の利用料でもって投資額を回収するのであれば、もはや公共施設ではない。公共施設であればその様な計算は成り立たない。また世代間の負担の公平性と言うのであれば、減価償却費では無く借り入れ(起債)の返済がそれにあたるのではないか。受益者負担ということであれば、例えば公民館を利用し社会活動が営まれる、その受益者は国民、と言う事になるのではないか。学ぶこと、知ることが自由で民主的な政治体制を支えるというのが根本の思想にあるのであるから。

一般質問に際して事前に財務部の担当者と打ち合わせをするのだが、なかなか議論が噛み合わない。そこで、同じ単式簿記の構造から自治体会計はよく家計に例えられるので、家計によるマイホーム取得として話をしてみた。



例えば親世帯子供世帯が協力して2世帯住宅を建てるとする。3000万円、金利2%、30年償還とすれば年間133万円の30年均等償還になる。そうなれば、やがて親世代は引退し、子供世帯だけが負担することも予想され、ならばこの計画は止めようと言う事になるかもしれない。今であれば建てるか建てないか、自己責任で考えることがでる。


ただ一般的には自己資金を用意する。親世帯が1000万円、子供世代が500万円、合計1500万円が自己資金、残り1500万円を先ほどと条件を同じく金利2%、30年償還の借入、とする。すると年間の支払は66万円、30年間、これなら将来的にも子供世帯で負担できるなと言う事にもなり、計画は進められることになる。



公共施設は自治体の自己資金と補助金と借入金で建設される。このうち借入金は、国の国債発行残高が1000兆円超えた、次の世代への負担の先送りなどとよく言われるように、次の世代が借金を返済することで負担する、と言う事はあり得るし、現実にそうなっている。


先ほどの家計においても自己資金と借入金で世代間の負担を調整し、マイホームと言う資産を活かし、平穏で文化的な生活が享受される。負担がどちらかに偏れば、この計画はとん挫してしまう。この収入支出の家計において、建物の減価償却費と言う概念は必要ないし、意味を持たない。係るのは固定資産税の納付と資産売却の折の譲渡益への課税くらいである。


減価償却費により資産の建設コストを回収すると言うのは、この年額66万円償還しながら、この家と言う資産が有効活用され家族の幸せの器になっているものに、木造建築の耐用年数24年、定額、償却年間125万円、これで投資額を回収すると言うことを押し込むと言う事になるのだが、果たしてそこに何の意味があるということになるかである。

2015年10月19日月曜日

公民館等の施設利用料の値上げについて 9月一般質問から④

公会計における減価償却費の考えについて問う。

 新しい料金体系においては、減価償却費、と言う考え方が導入されている。公会計に、企業会計に倣い貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を導入しようという考え方は、古くて新しい、また新しいようで昔からある考え方ではある。
まずは、佐世保市の場合、そうした取り組みはどのようになっているかを質問した。

 佐世保市においては、一般的な自治体会計の決算資料から推計して企業会計の財務諸表に類して作成されている。いわゆる発生主義に基づく日々の複式簿記による仕分けから作成されているのではなく、ある意味統計資料のようなものである。そこで「減価償却費」に対する考えが問題になる。 

住民説明資料11ページにおいて、公共施設の利用料算定に、減価償却費を参入する割合が示されている。

減価償却費とは一体何か。減価償却費とは、複式簿記を基礎とする企業会計において、土地を除く建物や機械などの固定資産の費用を、発生主義に基づいて収益に対応して耐用年数の期間で費用として案分したものである。ポイントは「営利を目的とする企業会計」であること、「利益に対応して」ということ、「実際上の現金の支出に関係なく」ということ、「税法上の費用とする」ということである。対して公会計は、住民から徴収された対価性のない税財源の配分を、議会における議決を経た予算を通じて事前統制のもとで行われる。ポイントは対価性のない税財源の配分、という事である。

 減価償却費と言うのは現金支出を伴わない費用、いわば概念上のものだが、あたかも何らかの費用支出が必要な表現及び説明は住民に対して不誠実ではないかを問うた。

特に公民館などは、憲法由来の、ある意味シビルミニマムあるいはナショナルミニマムに属する事であり、市が整備しなければならない施設が、補助金も含めて税金で整備されたというのが、現在利用されている公民館である。減価償却費と言う会計用語を使って企業会計風に表現すれば、一発償却で一年の単年度で費用として償却された形になっている。「減価償却費」は修理費とは違う。市が減価償却費として現金をどこかに支出するという事ではなく、複式簿記ではないので、相手科目もない。

2015年10月3日土曜日

公民館等の施設利用料の値上げについて 9月一般質問から③



 当日配布資料13ページに「受益者負担の適正化指針案の作成および策定」と示されている。作成と策定の意味の違い、それぞれの主体、会合の数など過程、そしてこれがどのように稟議され、行政組織においてどのような位置づけになるのか、を質問した。一般的には庁内の職員で「作成」し、次のステップ、例えば民間有識者を交え協議決定し、さらに議会の行財政特別委員会などで報告了承され、「策定」になるのかとイメージをしていた。
 答弁は歯切れが悪く、庁内の職員で作成され、策定に向けて作業中との、答弁の様でもあり、策定途中をもって住民説明会をしたと言うのは拙速の誹り免れず、である。この事は別の常任委員会に新しい問題を引き起こしている。
 リニューアルしたある施設の料金体系を決定するに際し、この「受益者負担の適正化指針」に基づいたと、この一般質問の翌日開催された委員会において、当局の説明がなされたのである。そこである議員から、昨日その指針と言うのは現在策定中との説明ではなかったか、であればそれを根拠に新料金を決めるのは不適切ではないか、と指摘したのである。この議案については、一度取り下げて出し直す、など紛糾した模様で、庁内全体として、決定のルールが弛緩していることは間違いない。議長としても憤り以上に危機感を持たれ、当局に強く指摘されたとの事であった。
 続いて当日配布資料13ページにある本年2~3月に行われているパブリックコメントの意味、内容、結果について質問をした。パブリックコメントとは行政が直接住民の声を聴くと言う事、それも大事ではあるが、議員からの意見聴取については、どのように考えているかを質したのである。

2015年10月1日木曜日

公民館等の施設利用料の値上げについて 9月一般質問から②

 市議会ホームページで一般質問のネット配信が利用できます。これはインターネットエクスプローラーなど限られたネット閲覧ソフトでしか利用できず、スマホやタブレットでは閲覧できません。どなたかユーチューブで変換するとかの方法がお分かりないでしょうか。
 http://www.sasebo-city.stream.jfit.co.jp/vod_play.php?CNTID=28004&PREVPAGE=%CC%E1%A4%EB