2016年2月12日金曜日

行政視察 文教厚生委員会

「小中一貫教育 施設分離型5・4制の事例 京都市」

京都市ではかつて200校ほどあった市立小学校、が現在166校となっている。少子化が進む最中の2006年、3小学校の統合話が持ち上がり、保護者や地域の要望の中から5・4制が浮上した。京都市では明治維新を経て学制により義務教育が開始される以前から、町衆が資金を出し合い学校を作ってきた歴史がある。そもそも教育に熱心な土地柄でもあるようだ。自分たちの地域から小学校が無くなることに対する反対に始まり、統合するなら他の地域に誇れるような学校を、と議論は熟成され、開校準備に5年をかけ、保護者のみならず地域を巻き込んだ協議は100回を超え、5・4制の小中一貫教育が実現した。
 そもそも6・3制に合理的な理由はない。むしろ小5・6年には思春期・反抗期が始まり学級崩壊などの問題が引き起こされる。また中学校で環境の変化に対応できない中1ギャップの問題もある。
そこで東山泉小学校の5・4制による小中一貫教育は、土地などの制約もあり、1-5年を西学舎、6-9(中3)東学舎に収める施設分離型としてスタートした。両校者の距離は750メートル程ある。
 京都市内にはすでに施設一体型の小中一貫教育が4・3・2制で行われてもいる。その他にも幼稚園―大学に至る私立の一貫教育や、国立・県立による中高一貫教育もある。ある意味教育の競争激戦地域である。
ご説明をいただいた村岡校長先生に
 「土地の制約から5・4制での施設分離型小中一貫教育ではあるが、もしそうした制約がなければ施設一体型の4・3・2制による小中一貫教育がより良いとお考えですか」とお尋ねしたところ、
 「その方がより理想です」との事であった。この議論の本質は、現状を固定的に考えない事、より良い制度に向かって変化を恐れない事、子供の教育により大事な事は何かという事が原点である事、では無いかと思う。
佐世保市立広田小中学校の施設分離型5・4制が単なる過大校の解消対策に終わる事なく、今後の佐世保市教育行政の先駆的取り組みとして、他の小中学校へも良い事例を示すものであるよう、今後とも行政の監視及び提言活動に取り組みたい。



「小中一貫教育 施設分離型4・3・2制 兵庫県小野市」

小野市では「国際社会の中で たくましく活躍できる 心豊かで自立した人づくり」の理念のもと教育に力を入れた市政運営が行われている。
 ・16か年教育
未来のパパママ教育や7か月児教室などマイナス1歳から15歳までを対象として、単なる育児子育て支援のみならず脳科学の知見に基づく子育ての啓発が行われている。
・小中一貫教育
義務教育期間の9年を連続して捉え、学びのつながりを大切にした教育が行われている。
小野市には8小学校4中学校があるが、均等に2小1中という組み合わせではなく1小1中、3小1中など、通学区地域の状況によって異なる。であるから施設は統合されたりするのではなく既存の小中学校の分離された施設において、小中一貫教育の理念に基づいて行われている。特に東北大学教授川島隆太氏が提唱される「脳科学と教育」の手法を導入し、「10歳の飛躍」と言われる脳が大きく成長する小5から中1かけて教科担任制などを取り入れ学びの充実化が図られている。また中1ギャップの言葉にある心の思春期:反抗期の乗り越えがスムーズに行くように取り組まれている。
 また小野市独自の学力検定「おの検定」が、市教委じたいで採点をするなど市をあげて実施されている。
 小中一貫教育を始めとしたこれらの施策は、教育特区としては取り組まれておらず、あくまでも国の施策の中で運営を独自に工夫し、子供のためにより良い教育はどうあるべきか、という事で、主体的に模索されている。佐世保市の広田小中学校での5・4制も単なる施設の問題としてではなく、施設の狭小によって表面化したいろいろな問題を可能性の広がりに変えて、主体的に取り組む必要があり、今後の教育行政のあり方を注視しなければと思う。少子化は今後さらに進む事が予想され、地域の特性を活かしながら小中一貫教育について研究を深め実践試行する事が必要であり、そのための教育凝視の監視及び提言活動に努めたい。



市立吹田市民病院の地方独立行政法人について
 佐世保市立総合病院が独立行政法人「佐世保市総合医療センター」なることに伴い
 地方独立行政法人化が求められる理由は経営の自由度、特に医療環境に即した迅速な経営が求められることに尽きることは、佐世保市、吹田市においても同じである。また独法化した後、赤字が解消される、あるいは市からの資金的持ち出しが縮減される、そうした事が当然要請されるのだが、救急救命をはじめとした不採算医療や政策医療の担い手である以上、独法化によってそれらがすぐさま実現できるわけでもないことは自明である。
 独法化を契機として携わる人たちの意識が改革向上し、不断の経営改善が常態化し、質の高い医療が実現し、医療を求める人にも施す人にも魅力的な医療機関となることが、求められる。吹田市はその途上にあり、佐世保市はこれから独法化する事となる。
 独法化後は、議会の関与は中期目標の議決によるのみで、経営の自由度は増す一方、評価に対する責任は明確になる。利用者の声が議会およびその議員によって反映されるのではなく、直接独法の経営中枢に伝わり、日々経営改善が行われなければならず、その状況をつぶさに監視しなければならないと考える。
 

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