2016年9月30日金曜日

議会費削減の取り組みについて(政務活動費の廃止等)

 視察した泉南市は人口62,500人、一般会計予算が234億円の市である。一般会計総収入に市税収入が占める割合が37.4%(佐世保市24。3%)、地方交付税が10.9%(同23.4%)となっており、自主財源が比較的に多い都市近郊の自治体である。関西国際空港の整備に伴い活況とその後の停滞があったようで、その際には財政も悪化し、視察時点での説明では、「一時の危機的状況を脱出したものの」と言う状況である。


 そうした中、まず第一弾として平成25年7月1日から平成29年10月の任期満了まで、議長・副議長・議員の報酬を6%減額する事とした。ちなみに市長は10%、副市長9%、教育長5%を平成24年4月1日から平成29年3月31日まで、給与減額を行っている。また政務活動費についても同時期に月額5万円から3万円へ、減額している。

 更に平成28年8月1日施行より議長513,000円(570,000円から6%減で538,000円、それをさらに減額と言う事)、副議長468,000円(同様に520,000488,000)、議員450,000円(500,000470,000)へ一時的ではなく恒久的に減額し、同時に政務活動費の制度そのものを廃止した。


 報酬6%削減における効果を2947万、政務活動費減額の効果を1440万円、とし、さらなる減額においては平成28年8月から平成32年10月までを試算し、報酬減額・政務活動費廃止により95,325,600円の効果としている。

 議長及び議運委員長の説明によれば、例えば学校へのエアコンの設置などの議会からの意見に対し行政側は財源がないなどに終始するために、先に議会が身を切ることによって政策の実現を迫ったという背景もあるようである。また第二弾の削減(政務活動費の廃止など)においては、この議案を提案したものの、通るとは思わなかった、との本音も語られた。


 さて、議員にとって報酬とは何であろうとの、永遠のテーマにつきあたる。限りなくゼロに近づける事を良しとするならば、議会経費は根本的には無駄な費用と言う事が前提になるのではないだろうか。私企業においてもガバナンスは強化する方向が趨勢である。ましてや税金・公金である。単年度あるいは数年度では経費削減としてとらえることができても、ガバナンスが強化されるという事が、長い目では健全で永続的で民主的ある。まして議会のガバナンスが欠如することによる失政や判断間違いで財政が危殆に瀕するという事で議会が責任を負うのは理解できるが、安易な削減は自己否定のような気がしないでもない。


 ここは議員としてのそれぞれの考え方である。私は当選した時の報酬等制度を一つの基準として、失政の一員である、あるいは社会経済状況の変化などにおいては減額も有り得ると考える。また一方、報酬が下がれば議員の生活ができない、若者が議員になれない、との意見には反対である。職業選択は自由である。第一に生活ができる職業を他に求めるべきである。貧しさや豊かさよりも使命感が勝るというのが若い政治を志す者の意義であり、自分の生活を考えるならば、でなければよいだけの事で、公に議論する必要もない。増額は、何か画期的事が生じ、増額する必要が生じない限り、増額する必要はない。


 「職業としての政治」と言うマックス・ウェーバーの本がある。職業政治家には二通りあり、それは「政治によって生きる方法」と「政治のために生きる」方法と述べている。一見「政治のために生きる」方法は美しい。ただし、では何によって生活をするのかという問題がある。職業としての政治、要するにプロの政治家である。小さな町や村の財政規模・行政活動に置いて、潤沢に生活ができるプロの政治家としての議員が必要かどうか、おのずと答えは出る。国のように大きくなれば、やはりプロが必要である。では佐世保市の市政においてはどうか。月額58万ほど、当然税金が引かれ、手取りは少なくなる。自分はプロの政治家である、プロとしてもっと報酬が必要である、要はそう言えるかどうかの問題である。


 政務活動費は月額5万円、会派によって管理されている。書籍やインターネットで調べた文献をプリントする費用などは政務活動費で当てられることは大変ありがたい事で、私はこれで一般質問をすることができている。更に会派などで行う行政視察はとても意義がある。

 議員報酬や政務活動費の問題、それは議員一人一人の哲学の問題である。

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