2017年2月12日日曜日

コミュニティ・スクールについて 行政視察②


先般の文教厚生委員会行政視察、第2視察地です。


視察報告書

平成29年2月8日

文教厚生委員長 様

文教厚生委員会 委員 北野正徳

【東京都足立区教育委員会】

調査項目

「コミュニティ・スクールについて」

説明および調査の概要

1.コミュニティ・スクールとは
 「学校運営協議会制度」とも呼ばれ、学校と地域住民・保護者が力を合わせて学校の運営に取り組むことが可能となる「地域とともにある学校」に転換するための仕組みで、この事で地域ならではの総意や工夫を生かした特色ある学校づくりを進めることができるようななる。

2.調査に至る経緯
 全国46都道府県内2806校(H244.1)にこのコミュニティ・スクールが導入されている。しかし長崎県においては壱岐市において1校あるのみで、本年4月より本市佐世保市小佐々町で導入されることとなっている。その為にその目的と課題を整理するために行政視察を行った。

3.調査の概要
 ・「開かれた学校づくり」について
 足立区においては平成14年度からすべての小・中学校に「開かれた学校づくり協議会」が設置され、学校・家庭・地域が連携し子供の成長を支える仕組みが模索されてきた。この制度の目標は「地域に根ざした特色ある学校づくり」「学校支援活動の充実」「家庭と地域の教育力の向上」の3点で、それを5つの機能「学校の現状・課題の協議」「学校評価の参画」「地域の人材活用、学校運営の参画」「学校・家庭・地域の役割分担と調整」「土曜事業、家庭教育等の事業実施」で、実現しようと言うものである。
 具体的には評価部会・家庭教育部会・土曜事業部会・広報部会などの部会が設置され、「ゲストティーチャー」「登下校の見守り」「木工・茶道などの土曜事業」「講演会」「学校関係者評価」「授業診断」などに取り組まれている。
 「谷中中学校 開かれた学校づくり協議会」についての説明をお聞きした。冒頭の資料に「当時、谷中中学校は、生活指導困難校だった」と記されていた。足立区は全国的にも有名な「ヤンキーが多い地域」であることから、私は「学級崩壊」や「荒れる中学校」などの課題が発生し、学校だけでは解決できないので、地域の力を入れることの方法として「開かれ型」が取り組まれたというのが実情ではないかと質問したが、そういう経緯も無くはないがすべてにおいてそうではないとのことであった。
 平成16年度、地教行法が改正され、法律上で学校運営協議会の設置が認められるようになり、平成23年度以降からは「開かれた学校づくり協議会型コミュニティ・スクール(開かれ型CS)」への移行が目指されることとなった。
 コミュニティ・スクール(CS):学校運営協議会とは何か、を理解するためにはこの足立区の小中学校で従来すすめられて来た「開かれた学校づくり協議会」とどう違うのかを比較するのが良い方法である。CSは地教行法47条の5に基づき(「開かれ」は協議会ごとの設置要綱、以下カッコ内は「開かれ」について)、委員は特別職の非常勤公務員として日額2000円の報酬がある(校長の推薦:無報酬)。CSでは校長の教育方針を承認し、運営への意見を述べ、教職員の任用に関する意見を述べることもできる(協議・評価・支援・調整等の機能はあるが権限はない)。
 「開かれ型」で十分な助走期間があるにもかかわらず、「開かれ型」から「開かれ型CS」への移行は停滞しているようである。その要因は「開かれ型で十分ではないか」「支援は良いが運営への参画までは望まない」「負担が大きい・人材がいない」などである。

4.見えてくる課題

 今回の視察により課題も具体的に見えてくる。まず「開かれ型」と言われる先行取り組みがある足立区においてもCSへの移行は膠着状態である事、その足立区においては1校1CSである事。これらのことを考えると、小佐々町においては2小1中でのCSとなり、運営においては意義の顕在化、継続化等、課題は大きい。
 地方自治は民主主義の小学校である、という言葉がある。このコミュニティ・スクールは「教育」を切り口とした主権者である住民が地域を運営していく(=自治)事の学びであると言える。本市においては公共施設の再編もこれから進められるが、学校教育の施設が社会教育に活用され、地域が学校を中心として運営されることも考えられる。安易に早急に成果を求めるのではなく、本市周辺地域においては一つの地域自治の在り方としても考えられ、長期的総合的に取り組む必要があるように思う。

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